UnBooks:ぐりとぐら
あらすじ[編集]
ある日、義兄弟の盃を交わした野ネズミ「グリ」と「グラ」は、森へ食べ物を探しに出かけました。森の奥へ奥へと進んでいくと、二匹は大きなタマゴを見つけます。
「勝手に取ったらまずいんじゃないか兄貴?」
「いいんだいいんだ。いつものことよ。むしろラッキーだぜ。」
グリは、さっそくバターとアウトドアクッキング器具を持ってきて料理を始めます。森全体に、バターとタマゴが焼ける甘い匂いが広がると、森の動物たちも三々五々集まってきました。やがてグリが、フライパンのフタをゆっくりあけると、黄色のカステラができあがっていました。動物たちはたまらず、みんなで食べ始めます。カラダの小さいグラは、みんなに押しとばされますが、何とか切り分けてもらって、一番最後にカステラにかぶりつきました。すると、そこへ遠くから地響きをたてて誰かが走り込んできます。
「誰じゃー、ワシの子供を喰っているヤツわー!」
タマゴを取られたダチョウのお母さんが殴り込みに来たのです。森の動物たちは、一斉に口いっぱいにカステラを頬張ったグラを指さして、
「犯人はコイツです!」
とスケープゴートにしました。 胸ぐらを掴まれたグラは、あわててグリを探すように視線を泳がせると、視界の端っこで全速力で逃げていく兄貴の後ろ姿が見えました。おそらく、生きて彼を見ることはもうないでしょう。
「ギャラクティク・マグナム!」
ダチョウのお母さんは、グラを力一杯拳で吹き飛ばしました。グラのカラダは見開き1ページを使って高く高く銀河へ昇り、やがて星になりました。今でも森の動物たちは、天の星を見上げるたびに、あの美味しかったカステラのことと共に、
「グリのヤツ、そろそろ誰かだまして美味しい料理を作ってくれねーかな・・・。」
と思うそうです。 今日も空には、グリの元相棒の数だけ星がまたたいています。