スマイル価格大暴落

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スマイル価格大暴落(―かかくだいぼうらく)とは、1990年代中頃に日本で起きたスマイルの価格暴落事件と、それに伴うサービス価格の急落、市場のスマイルに対する信用不安の一連の事態のことである。サービス全体の価格暴落を引き起こしたため「サービス価格破壊」とも呼ばれる。

日本マクドナルドの「スマイル0円」宣言より始まり、これに反応した市場参加者がスマイル売りに走り、群衆心理に加速されて当日のスマイル価格はストップ安となった。最終的にスマイル価格はほぼ値段が付かない所まで値を下げる状況になる。これに伴いサービス価格全体に対して市場が安売りを始め2010年代まで続くサービスデフレの原因ともなり、消費者がスマイルへの信用をなくしたために対面販売全体への信用不安に繋がってしまうことになった。結果として小売業のネットショッピングなど非対面販売への移行が進むことになっていく。

現在のスマイル取引についてはスマイルを参照

背景[編集]

チップ制度の発達した欧米では行われたサービスに対して自分の適切だと考える金額を渡すことが出来るが、日本ではサービス料金は基本料金の中に含まれていることが多い。しかし、それまで日本でサービスに対する料金内訳は明確に提示されておらず、また同一店舗でもサービス提供者によって実際に行われるサービスの品質にはばらつきがあり、消費者は自分の提供されているサービスが支払っているサービス料金に対して適正であるかどうかの判断することが出来なかった。そのため消費者の間では店舗のサービスに対して一種の不信感が広がっている状況だった。

そのような中で、1994年を前後して日本マクドナルドは『エブリディ、ロープライス』の宣伝文句と共にバリューセットや大幅値下げなどのデフレ路線へと舵を切っており、日本の消費者がサービス料金に対しての不信感を抱えていることに目を付けた日本マクドナルドはサービス料金の内訳を提示する意味と共にデフレ路線の一巻になるとして「スマイル0円」宣言を行うことを決定した。

このスマイル0円宣言は、当時殆どが消費者のセルフで済ませるマクドナルドにおいて唯一のサービスだったスマイルを無料として値下げすることでもあった。[1]

経過[編集]

消費者の中では「スマイル0円」宣言は好感を持って受け入れられ、日本マクドナルドの株価は一時的に上昇することになる。「スマイル0円」はマクドナルドの料金表の中にも掲示され、サービスも商品であり価格の表示をするべきであるという機運を盛り上げていった。

マクドナルドの発表を受けて、市場ではスマイルの売りが横行し、一時スマイルの価格はストップ安になった。また直後から対抗上、この発表に追随する他のサービス業種がスマイル価格の値下げが続出し、スマイルの価格破壊が起きていく。このスマイル市場の動きにサービス全ての銘柄が引っ張られる形となって、スマイルだけではなくサービス全体の安売りが始まることになる。多くの企業が販売料金の中でのサービス料の内訳が示してこなかったことが、サービス料金全体の値下げで企業にどれほどの損失が出るかを不明瞭にしてしまい、不安感を増幅させた投資家による利益確保のための売り注文が殺到することによってサービス業種の株価までもが急落していくことになった。

翌日、内閣の閣僚会議において、この一連のサービス価格暴落に対して話し合いが行われたが、「値下げは企業努力の成果であり、消費者の利益となる。」として市場への介入を行わず静観することを決定した。

この発表を受けて市場は更に価格の暴落を加速させる。取引市場では売り注文に対して買い注文が殆ど行われず、内閣の発表から2日後にはスマイルの市場取引が完全に廃止されることとなった。更に4日後には、飲食店にて扱われるサービスの殆どが以前とは比較にならないほど低価格で安定し、2010年代になってもこれらの市場取引価格は回復していない。ただし大量製品のサービスではなく専門家によって提供される高級サービスの類[2]は、この価格低下の影響が比較的小さく値段を保つことになる。これを契機として安価なサービスと高価なサービスとの二極化が進むことになった。

信用不安[編集]

ほぼ無料でスマイルを提供されることになったが、これが徐々に消費者のスマイルの質に対しての疑念を呼び起こすこととなった。対価を支払うならば感謝の笑顔もあるが、無料ならば完全に作り笑顔であるという考えが蔓延したことが原因となり、対面販売で提供されるスマイルに対して疑心暗鬼を抱く客が増えることになった。スマイル自体に拒否感を憶える客も増えたために、店内でも「笑ってんじゃねえ」、「何笑ってんだ殺すぞ」と言う怒号が響く状況も見られた。

この現象に対して専門家の山口貴由は「笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である 」と述べて、作り笑いに対して拒否感を持つのは、むしろ自然の反応であると解説した。

この信用不安の問題点は、消費者がほぼ全ての対面販売で提供されるスマイルに不信感を持ったために、対面販売自体に信用不安を招き、段々と消費が冷え込んでいくことにあった。この状況の中で、当時普及が促進されていたISDNによりネット通信が比較的容易になったことを要因としてネットショップサイトが開設されていた。無料のスマイルや安価なサービスならば寧ろない方が望ましいと言う消費者がこれに目を付け利用していくことになる。そして後々のADSLサービス開始によるIT革命に加速されて、小売り業は実際に対面して行われる販売からAmazonなどのネットショップへと移行していくことになった。

また、スマイル信用不安は文化面にも影響を及ぼした。詳しくは後述の影響の項を参照。

終結[編集]

この事件の完全な終結は現在まで見られていない。現在でもスマイル価格は0円で維持されている。しかしマクドナルドの一部店舗では「スマイル0円」の商品掲示をしていないなど、スマイル0円の見直しも始まっていることがうかがえる。また、深夜など経費のかかる時間にはスマイル提供を行わないコンビニエンスストア等も増加している。

また暴落したサービス価格は現在までも続き、サービス提供を行う店員に支払う人件費が低く見積もられ、対面販売や飲食店の店員は殆どがアルバイトパートタイマーで賄われており一部ブラック企業では奴隷のように扱われている状況となっている。正社員の減少とそれら労働者に対する給与の減少により、サービス業の経済規模は金額的には年々縮小傾向にある。

影響[編集]

国内においては、サービス価格の値下がりやスマイルの信用不安が少なくない影響を生んだ。

お客様の増加[編集]

サービス価格が暴落したことにより、多くのサービスを当然受けられる物と感じる消費者が増え、過剰なサービスを無料で受けようとする客、いわゆる「お客様」が増えることになった。サービスへの感謝が殆ど無くなり、無料で労働しているかのように見える店員を一種の奴隷のように考える人々が増えていることが、ここ数年の社会問題ともなっている。

文化面への影響[編集]

スマイルの信用不安は、有名人のスマイルに対しても不信感を憶える人々を増やすことになった。特にアイドルの作り笑顔に対しては批判が起きることが多く、更には皇族が下賜される笑顔に対しても「笑顔が不自然で怖い」と言う無礼な言動も目立つようになった。

それらの意見が起こる中で、スマイルの信用不安を逆に利用し作成された1995年の新世紀エヴァンゲリオンが社会的な流行をみせることになる。無表情な少女である綾波レイと、怒りっぽい少女である惣流・アスカ・ラングレーと言う二人のヒロインを主軸とした作品で、この二人は普段は笑顔を見せないことで視聴者の笑顔への拒否感を与えず、作中で僅かに笑顔を見せることで、無価値であったはずのスマイルの希少価値を作る戦略が見事に成功した。この作品では、笑顔はむしろ好意を持って評価されている。

エヴァンゲリオンの戦略は、他の文化作品にも受け継がれ、無表情な「綾波系」キャラや悪態で接する「ツンデレ」キャラをヒロインとする作品が多く作られることになっていく。

海外への影響[編集]

前述した通り欧米ではチップ制度が浸透しているために、日本のサービス価格暴落は殆ど影響がなかった。また、欧米以外の国ではサービス自体が殆ど提供されないため、これらの国々でも影響は殆ど無かったとされている。

しかし、近年になって日本で非常に安価になり安定供給されているサービスを海外への輸出品にしようという動きがユニクロを中心として起きている。これが問題なく世界各地で受け入れられることになれば、世界的なサービス価格暴落が起こると見られており、各国の経済学者は警鐘を鳴らしている。

経済損失[編集]

スマイル価格大暴落による経済損失が全体でどれほどであったのかを経済産業省が試算した。経済産業省の発表によると、スマイルの売買停止とサービス価格の低下による経済規模の縮小、及びサービス業界全体の金銭流通の低下により起こされた経済損失は、総計7兆6000億円にのぼるとした。

この試算を発表した経済産業省の幹部は「信じられないが本当か」と言う記者の質問に「これがもし悪い冗談だとしたら、金を貰っても笑えない。」と苦い顔で答えた。

脚注[編集]

  1. ^ 日本マクドナルド宣言の中でスマイルにだけ言及したのは、他のサービスは行わないという宣言だったとも言われている。
  2. ^ ホテルボーイのサービスなど

関連項目[編集]